猫には世界がどう見えているのでしょう?
私たち人間と同じように見えているのでしょうか?それとも、まったく違うように見えているのでしょうか?猫はその目力で、人間を意のままに操る催眠術を使えるのでは、と思えるほど魅惑的な目をしています。猫が本当に催眠術を使えるかはさておき、猫の目にはまるで不思議な魔力が宿っているかのようです。
猫は太古の昔から、この目力で私たち人間を魅了してきました。今回のコラムでは、猫の目についての様々な情報をご紹介します。
猫の目
丸い額、ふっくらとした頬、引き締まった顎は、猫を表情豊かな顔に見せます。そして、やや楕円形をした輝く目は、全てのパーツを引き立て、猫の神秘的な魅力を引き出しています。
猫の目の構造と外観
猫の目はハンターとして完璧な構造をしています。薄暗い場所でも素早く反応できる、高い空間認識能力があります。猫の目には3つのまぶたがあります。動くまぶた、動かないまぶた、そして非常に薄い保護膜が目尻を覆い、猫の目を常に湿った状態に保ちます。このまぶたのおかげで、猫は人間のようにまばたきをしなくても眼球を潤すことができます。
猫の瞳の色
ふいに猫がこちらを向いて目が合う瞬間、その輝く瞳に吸い込まれるかのように、私たちは魅了されます。
その瞳はブルー、アンバー、グリーン、ナッツブラウンなど、魅力的な色をしています。黒などの色で縁取られた目は、明るく表情豊かで、澄み切っていて情熱的です。
猫には世界がどう見えている?
猫は私たち人間とは異なる視点で世界を見ています。
暗闇の中や細かい動きを見ることに関して、人間は猫に敵いません。視界の悪いところで、私たちよりもよく見ることができます。一 方で猫の目は、色を認識することに関しては限定的です。これは、人間の目の網膜にはたくさんの錐体(すいたい)があり、そのため私たちは猫より多くの色の違いを見分けることができます。
猫の視野はどれくらい広い?
猫は非常に広い視野を持っています。私たちの視野は最大180度程ですが、猫は頭を回転させずに200度まで見ることができます。猫は些細な動きにも敏感で、どんなに速くても見逃すことはありません。爬虫類と同じように、猫も瞳孔を調節して、網膜に丁度いい量の光を取り込むことができます。光が少なければ少ないほど、瞳孔は大きく開きます。
猫が見ることのできる色は?
私たち人間は、すべての原色とその混色を見分けることができます。例えば、赤と青を合わせると紫になることが認識できます。一方、猫は色盲ではありませんが、その世界はグ レーがかっています。猫の網膜は、色を認識する錐体の数が少なく、また錐体の種類もすべての色に等しく反応するわけではありません。猫は主に青、黄、緑がよく見ていると言われ、反対に赤は見えづらいです。
暗闇の中で猫の目はどのように反応する?
まるでリフレクター
猫の目は、暗い場所でライトが当たるとキラリと光ります。なぜ、猫の目はこのように暗がりで光り、よく見ることができるのでしょうか?それは、暗いところでは猫の瞳孔が大きく広がり、より多くの光を取り込むことができるためです。また、猫の網膜の後ろには”タペタム”と呼ばれる反射板(ラテン語でtapetum lucidum)がついています。この反射板の働きにより、取り込んだ光量を増やし、暗いところでもよく見ることができます。
猫には人間がどう見えている?
猫は、人間の行動の特徴を捉えて、個々を識別することができます。
そのため、猫は遠くからでも身近な人間を感知することができます。例えば、飼い主のあなたが部屋に踏み入れる前から、猫はあなたが近づいて来るのを察知します。彼らは高い精度でいち早く、こちらに向かって来るのがあなたであることをピンポイントに感じ取ります。猫は、あなたの歩く・走る・遊ぶ・食べるなどの一挙手一投足を、あなた特有の動作として認識しています。動く気配さえ感知できれば、猫は周辺にいる人間の状況を把握することができます。
猫の目から分かる色々なこと
まるで、目は心の鏡、ということわざを体現するかのように、猫は「撫でて!」と、あなたの目をじっと見つめます。ボディランゲージに加えて、猫の目は非言語的なコミュニケーションの手段です。ただし、目だけを見て判断するのは禁物で、猫の仕草や表情、その時の状況も踏まえた上で、猫の要求を推測することが重要です。目は猫の気分、あるいは何かの病気を抱えていることを示す場合もあります。目が赤くなっていないか、涙を流していないか、いつもと様子が違うか、目をよく観察し確認してみてください。
猫の目が炎症を起こしたとき
炎症がある場合、最初は目が少し赤くなります。その後、結膜は膨らんで涙が出やすくなります。涙は最初、さらさらとしていますが、しばらくすると粘度が高くなり、どろっとした目ヤニが出てきます。猫は目の中に何かあるような気がして、まばたきをしたり、炎症を起こして赤くなっている目の上を頻繁に前足で掻いたりするようになります。このような時は、猫を病院へ連れて行きましょう。
炎症が進むとどうなる?
時間が経つにつれて目の炎症が悪化すると痛みが増し、猫は自分で何とかしようとします。炎症が進むと、まぶたは大きく腫れ上がり目の一部を覆ってしまうことがあります。眼球は、液体が増えるにつれてますます濁っていきます。まぶたが覆われることで、視野が極端に狭くなり、猫はまばたきをしたり目を細めたりします。それでもよくならない場合は、完全に目を閉じようとすることもあります。
このような状態の時は、速やかに獣医師による診察を受けてください。
猫の目から出る涙
鼻の低い猫種は、鼻涙管が狭く、涙が出やすいため、鼻の高い猫種よりも目のケアが必要です。涙や目やにを拭き取らずに放置すると、乾いて涙やけと呼ばれる炎症を起こすことがあります。
突然、猫の目から涙がたくさん出て目が赤くなり、分泌物の色が透明ではなく黄色っぽい場合は、猫を病院に連れて行く必要があります目に異物が入ったのか、結膜炎なのか、獣医師に診てもらい適切に処置してもらいましょう。もし猫の医療保険に加入していれば、診療費に対して保険が適用される場合があります。
猫用目薬の使い方
猫の涙は柔らかいティッシュ、ハンカチやコットンを軽く湿らせて、眼球に触れないようにそっと拭きとります。目ヤニを拭き取るための専用のウェットシートも市販されています。目の周りのケアをするときは鼻の方向から拭きましょう。獣医師から目薬をもらっている場合は、以下の手順で目薬をさしてあげるとよいでしょう。
- 目薬のキャップを開ける
- 猫の背後からしっかり抱きかかえる(頭以外)
- 顔をしっかり支える
- 上まぶたを軽く引き上げる
- 目薬を1滴垂らす
早く良くなりますように!